癌患者が元気になったらやりたいこと
母は重粒子線治療を受けていた。これは先進医療で国民健康保険の適用外。ベッド代などを含めると300万円以上かかる。
その重粒子線治療専門の病院へ入院している最中、母が同じ入院患者たちに、「重粒子で元気になったら、何をなさりたいですか?」と聞きまわった回答。
第一位 生前整理
第二位 旅行
第三位以下は無し!!
重粒子線治療は高い。よって、標準治療のみの癌患者と比べれば、そこそこお金を持っている人たちが集まっていると考えられる。おそらく、やりたいことに対して予算がそれなりにありそうな人たち。
彼らが元気になってしたいことが第一位が生前整理。あまりに露骨な言い方だけど、死ぬ前に片づけたいというのが延命治療の動機であるというのは、ちょっと衝撃だった。
まあ、サンプル数は10名ほどだけど。
旅行は元気な人も忙しい人も「暇になったら?」「お金があったら?」と聞かれたら挙げるだろうと予測できるので、癌患者のやりたいことリストに挙がるのはわかる。
でも、旅行と生前整理以外は無いというのも衝撃だった。
旅行は体力的に毎日行けるものではない。けれど、家族としてはそれ以外の日常ももっともっと楽しく遊んでほしい。
私と母(がん患者本人)は話し合い、生前整理については、「誰に何を残すか」だけにしようと決めた。
それで、その片付けの時間をできれば他の事に使いたいね、例えば、
・旅行しよう。
・おしゃれしよう。
・素敵な場所でお食事しよう。
・いい音楽を楽しもう。
・花を見に行こう。
・映画も見たいね。
・漫画は?
という話をした。
もちろん、生前整理が趣味です!という人もいるだろうけど、母も含めて大半の人はそうじゃない。でなきゃ、あんなに断捨離番組に出演する家族が次々と存在するはずがない。
母は体力の許す限りは楽しむことに貪欲で、それは家族にとっても光になった。心から楽しそうな癌患者の笑顔ほど、家族を励ますものはないと思う。