癌患者はどうやって移動する?通院って大変!

通院の時、癌患者の移動手段はなんでしょうか?

我が家の場合かかりつけの病院は、タクシーで15分くらい、バス+徒歩でも可能だった。

我が家は積極治療の方針だったため、これ以外に先進治療を受けた。飛行機に乗って治療を受けに行ったこともある。また、かかりつけの病院の検査設備が予約でいっぱいということでやや遠方の大学病院で検査だけ受けたことがある。

こうした移動に対して、いろいろ使った経験から、可能な限り公共交通機関をお勧めする。

 

1.電車

急に具合が悪くなる癌患者には、本当に本当にありがたい移動手段である。

各駅にトイレと駅員室がある。しかも、電車には非常停止ボタンがあり、トイレにも駅員に助けを呼ぶボタンがある。

母も知らなかったし、ほとんどの人は知らないのかもしれないが、駅員室では30分~1時間ほど横になれる固いソファーとバケツの用意がある。私自身がひどい生理痛もちで苦しんでいたころ、大変お世話になりましたので、利用の流れを紹介しておく。

 

駅員室利用の流れ:

具合が悪くなったら、近くの乗客にお願いして、次の駅で降り、ホームで駅員を呼ぶ。

駅員から「駅員室まで歩けるか(肩は貸してくれる)?歩けないか?」を聞かれる。

おそらく安全上、ホームに残留することは許されないため、どちらかを決める。

ここで「動けない」と答えると、119番救急搬送される。なお、救急車のストレッチャーの締め付けはかなり不快で、階段も担がれておりるとぐらんぐらん揺れて相当気持ち悪くなる。

駅員室まで自力で移動できれば、ソファーで横になれる。

駅員室では水などはもらえないため、常にペットボトルを持ち歩くこと!(なぜか鎮痛剤はくれることがある)また、トイレは駅員室中のものを借りられえないケースがある。

30分に1回、駅員から声をかけられる。「救急車を呼ぶか?もう動けるか?」

ちなみに私自身がお世話になったときは、生理痛なので1時間頑張れば収まると伝えてもう少し休ませてもらっている。

回復したら「名前(と電話番号)」を書類に記入して終了。その後電話がかかってきたことはない。

 

我が家は、体調が悪化してからは家族が必ず付き添い、場合によっては家族が「席を譲ってくれませんか?」と座っている方にお願いしていた。また、当時は知らなかったが、世の中には「ヘルプマーク」などもある。癌患者はぜひ使うべきだと思う。

 

2.普通のタクシー、バス

これは運転手の腕による。乗っていると体が揺れて不快な運転や、なめらかじゃない停車をする人がいるのだ。特にいつもの病院ではない場所に行く場合、患者側も体にかかるGを予測できないので、吐く。転ぶ。近場、15分以内の場合にオススメ。

 

3.介護用タクシー

ストレッチャーで体を寝かせた状態で運んでくれる。しかし、転落防止のため拘束されれば不快である。

また、サスペンションが悪いのか、高級車のようななめらかな乗り心地は期待できない。うちの母は酔った。本人曰く「寝てるとより振動を感じる。」とのこと。地震でも震度1を感じるのは寝ていた人、座っている人は気が付かなかったりするものね。

 

4.飛行機

癌患者は、まず「お手伝いが必要なお客様」用の窓口に連絡しよう。出入口の傍やスペースの広い席に変更をお願いできる。

窓口の人は「主治医の許可は?」と確認するが、「通院のためなので、飛行機に乗ってでも来てといわれている」と伝える。

私が患者(癌なうえ、背骨3本骨折中)と付き添い2名分のチケットを取りたかった時、

ANAの窓口の人からは以下のように指示された。

まず通常のチケットを取る、そして、窓口に再度電話すれば希望の便の希望の席に振り替えてもらえる。私がチケットを取ったとき、既に該当席は埋まっていたが、振り替えは行われ、2人は一番前の座席になった。さすがに申し訳なく、「席を取っていた人になんて謝ったら良いのでしょうか?」と聞いたら、

「こちらで対応しますから大丈夫です。飛行機は公共交通機関です。配慮が必要な方に配慮するのが当然です。公共ですからね!」

また、空港内での車いすの手配もしてもらったし、長時間の体制保持が厳しいことを伝えると、可能な範囲で搭乗時間を最後にするといった対応も行ってくれた。

ちなみに座席も困難で、ストレッチャーを使いたいようであれば、便が夜遅くになったり1日1本になったりするので早めに相談しよう。

そして、重要なこと!
チケットは割高でも数か月間期間があるものを選ぼう。癌患者はすぐリスケになるので、振り替えられないとドブに捨てることになる。

 

5.新幹線

飛行機よりずっと車両が多く、本数も多いので、トイレの近くや広めの先頭座席を選びやすい。エクスプレス予約もできる。しかし、クレジットカード決済はお勧めしない。

切符発券後に癌患者が「体調がよくないのでリスケ!」と言い出すと、払い戻しをみどりの窓口で行うことになる。そしてクレジットカードで支払っているとカードがないと払い戻しができない。私は癌患者本人とは離れて住んでいたので、切符を一度実家に回収しに行った後、窓口にもっていかなければならなかった。

なお、飛行機だと電話一本でラクチンだった。

 

 自分で運転は危険なので極力避けてほしい。

途中で具合悪くなったら?運転中に失神して事故を起こした人に対する世間の反応を考えてみてほしい。癌患者はとかく自分が悪いと考えがちで、公共交通機関で人に迷惑をかけたら、と気後れするようだ。でも、自動車で事故を起こすことを考えたら、あえて公共交通機関を利用するのはたくさんの人の命を救っているといってもいい。

公共交通機関をつかうべきではない人は、迷惑をかけるかもしれないと引け目を感じる人ではなく、人から被るどんな迷惑も影響も一切許せないという人だ。

癌患者もそのほかの難病の人もどんどん公共機関に乗りましょう!